フィクションの功罪
フィクションが好きです。
フィクションには、辛い現実を一瞬だけ忘れ
させてくれる効果があります。
それゆえにフィクションは、「私だけどうしてこんなに
うまくいかないんだろう」という考え方を助長
させる作用も孕んでいます。
『子供時代に作り上げた一般論の世界観は
しばしば偏っていて、そこから生まれる
ストーリーは成長後の人を苦しめること
がある』
(人はなぜ物語を求めるのか p.140 より )
また、作家の森博嗣氏の著書でも
『僕らは小さい頃からフィクション漬けに
され、友達が多いことは素晴らしいと
思いこまされてきた』
という旨を述べています。
ボヴァリー夫人(同名作品に登場する架空の
フランス人女性)は、田舎で家事と育児だけに
専念する日々に対して、「どうして私は
こんなとこで冴えない旦那のために働いている
のかしら」と嘆いていました。
ちょっと考えてみれば、良いことも悪いことも
起きて当然です。私たちは「良いこと」への
審査基準が厳しすぎるのです。
「だから、なんでもポジティブに捉えよう!
生きていること自体が幸せだ!」という
一般論にも注意。
なんでもポジティブに捉えることはうつ病の
引き金。
陳腐な言い回しですが、 思い込みを疑い
ましょう。無自覚に「良い」と思わされている
ことはありませんか。
ほんとにそれを買いますか?
ほんとにそれは楽しいことですか?