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かぜよみの会 ~ 鹿嶋 神栖 潮来 香取 銚子 旭付近 の 文化系サークル~

茨城県鹿行地域にて、読書会を開催しています。少しでも興味を持たれた方や参加希望の方は、ruralbooks@yahoo.co.jpまでメールくださるか コメント欄 より お問い合わせください。

「東京を生きる」を「地方を生きる」人が読む

アダルト媒体出身で、昨年急逝された
フリーライター雨宮まみ」さんの本を
読みました。




タイトルは「東京を生きる」。

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「東京に来て、私は『お金がなければ、
楽しいことなんて何もない』という
宗教に入ったのだと思う」
(同書 p.18 より)

「わくわくするようなもの、新しい
ものは、私から際限なくお金を奪い
取り、心をかき乱した。東京に来た
のに、仲間には入れない、そんな
感じだった」 (同書 p.195 より)



故郷(福岡市郊外の公営団地)の退屈から
逃げるように18歳で上京した雨宮氏が、
兼ねてから「東京」に抱く複雑な心情が
綴られていました。





誤解を恐れずに書くと、彼女は
「限りなく一般人に近い感性を持った」
方だったんだなあと受け取られました。


感性はほぼ人並みなのに、人より
ちょっとだけ多くを求めてしまう。

まだ見ぬ華美な服飾を身に纏いたい。
私だけを愛する男の腕の中で眠りたい。

誰もが抱く願望を、誰よりも途方もなく。
手狭なマンションの一室で1人。



江國香織氏の著作「神様のボート」に
登場する葉子が匂わせていた狂気に少し
似ています。

頭ではわかっているのに、信じてしまう。
欲望が消えないから、何とか生きている。






彼女は読書家でもあったようです。


「だけど、私は、本を読んで寝てるだけの
人生がつまらないなんて絶対に思わない」
(同書 p.101 より)




同感です。








東京暮らしに思うところのある方、
地方暮らしに辟易している方、
お試しに手に取られてみては。