ゆるキャラ達が幸福について考える小話
〜〜〜ある土曜日の 昼下がりのファミレス〜〜〜
私はスピン・ブクミ。神栖付近で読書会を
主催してる ゆるキャラよ。
今は店内で 、
ゆるキャラのセンリョウ・ハツエちゃんと
遅めのランチの待ち合わせ中なの。
ていうか、さっきから隣のテーブルうるさいわね……。
あ、ブクミパイセ〜ン!こんちはっす!
奇遇っすね〜!!
一応ゆるキャラのコンビナ君!? 酒臭いんだけど!!!
ていうか、1人で呑んでるの!?
ひとり言もうるさいんだけど!
休日の昼間から1人で呑むファミレス焼酎も
オツなもんですよ〜。
ブクミさんもいっときます?
ありがたくお断りするわ。
は〜、いつもそうやって昼間から呑んでるの?
いや、こんな明るい時間からひっかけるのは
はじめてっす。
なにか、つらいことでもあったの?
いや〜、誰とも会う予定がないときは
いつも酔ってますね。
お酒好きなのね。
いやいやいや、さびしいじゃないですか、
1人でシラフで部屋にいても。
地方じゃ、こんな早い時間から 居酒屋
空いてるとこ少ないし。
呑んで、さびしさは紛れたかしら?
どうですかね。酔いが醒めて、
また1人の部屋に帰るかと思うと………。
すいません、ちょっぴり遅れました〜!
って、酒くさっ!
コンビナ君どうしたの!?
ハツエちゃ〜〜〜〜ん!一緒に呑も!
ウチ一応、永遠の17歳設定なの。だからごめんね。
ファンと酌み交わすってのも清純なイメージが……。
えぇぇー!誰も一緒に呑んでくれないの!
ヤダヤダヤダ!!!
あー、幸せになりたーい!
「幸福とは、人間の一大迷妄である。」
? 何ですか、その借り物のセリフ?
19世紀ドイツを生きた哲学者、
ショーペンハウアーの
「処世術箴言」の邦訳本
「幸福について(新潮文庫)」の
有名な一節よ。
要は、「幸せなんて、まやかしだ!」
って説いたの。
いや、幸せそうなカップルや家族は、
ごまんといるじゃないか!!!この店内中にも!
ショーペンハウアーはその光景すらも、
「極めて歪められた認識」といっているわ。
幸せとは相対的な価値だから、
あてにならないと考えたみたいね。
ええー、なんか納得できないなあ。
あえて幸せになる方法を挙げるなら、
・病気にならないように体を鍛えよ。
・様々なものに触れ、内面を豊かにせよ。
・いろんな事柄をじっくり考える時間を喜びとせよ。
・1人でも没頭できることを見つけよ。
・若いうちに、孤独に慣れておけ。
と、なっているわ。
ふーん。 でも、結構、普通なことを書いてない?
正直、ウチでもいえそう。
「結論で読む幸福論(勢古 浩爾 著)」という本でも、
「アランやラッセル(有名な幸福論の著者)の説く
幸せになる方法がありふれたものなのではく、
幸せとはありふれたところに転がっているもの
なのかもしれない」
と 書いているわ。
退屈と苦痛の間をいかに上手に行き来するかってのが
重要かもね。
なるほど。 結局、ごはんが美味しかったら、
十分幸せってことね。 空腹そのものは不幸せだけど、
空腹の方が、なんでも美味しく感じる的な。
うーん、まあ、大体そんな感じかな……?
幸せになりたいよ〜!!
………わかったわ。今日だけ付き合ってあげる!
(焼酎のグラスを一気に飲み干しながら)
お、ブクミ姐さんあざーす!!!
代行料金はコンビナ君持ちだからね。
ええぇぇぇぇ!!!
あと、アルコールに毎回逃げないで、別のなにかに
没頭すること。
なんなら、私みたいに交流サークル立ち上げてみたら?
それいいっすね! ジョギングサークルとか!
あの〜、お二方。もう少し声のボリュームを抑えめで
お願いしま〜す(店員さんがずっとこっち睨んでる……)。
以上、本の内容以外は大体フィクションの小話でした。