バスと朗読
以前羽田空港から鹿島セントラル行きのバスに乗車した際に、印象深い運転手の方に遭遇しました。
バスの車内アナウンスが、とてつもなくクセが強い(いい意味で)。声質もやけに甘ったるく(男性です)。間の取り方が絶妙、不安になるくらいのスロースピード。
でもなんだか、もう少し聴いていたいような、謎の引力。
文章はマニュアルでも、 読まれ方一つで乗客に感動すら与えることができるんです。
また、最近親しくさせていただいているある方も、たまに高齢者施設へ朗読ボランティアに出向かれるそうです。その方いわく、「逆に元気をもらえる」とのこと。
身体は動かしづらくても、今のお年寄りはエネルギッシュで、好奇心旺盛です。
話題の佐藤愛子さんの本を買い支えているのも、こちらの層でしょう。 ずっと好奇心を持ち続けられるかが、 脳の老化の抑制に関与しているという有力な説も。
19世紀末のフランスでは、本の出版を控えた作者が読者の反応を確かめるために、大人数の関係者を集めて自ら著書の朗読会を開催していました(鹿島茂の書評大全 洋書編 より)。
文章も音楽と一緒で、心奪われるリズムを刻むようです。